都立大助教体験記 (1 年目)
はじめに
この文章の目的は,「公立大学の教員がどのような仕事をしているか」という情報を共有することです. なお,本文章は以下の記事に大いにインスパイアされています.
本記事のまとめ
- 今年度はなんかもう全然ダメでした
- アカデミアはいいぞ!!
今年度のイベント
大学教員の一般的な仕事内容に関しては冒頭の文献が極めて網羅的かつ具体的に書かれているので,ここでは私個人が今年度どんな風に生きたかを時系列順にたどってみようと思います. 私が所属する大学では国立大学によく見られる小講座制ではなく 大講座制 で教授 1 人 or 准教授 1 人 or 教授 1 人+助教 1 人 の構成です. 2024 年度は教授 1 名・助教 1 名に対して学生は合計 15 名程度という構成で,そこまで規模は大きくありません. 元都立大で X でも有名な小町先生はもっと多くの学生を 1 人で抱えていたらしいです. そのうち私がメインで面倒を見ていた(公式には助教は学生の研究指導を行う資格はないため,学内の用語は「研究指導補助」)学生は 5 名 (M2 1 人, M1 3 人, B4 1 人) でした. 以下では時系列順に私の生活を振り返っていこうと思います. どこまで公開していいのか非常に迷いましたが,小町先生のブログで公開されている程度にしています.
2024 年 4 月
教育
- プログラミング基礎演習 II
- 大学教員として初めての授業
- 2 年生に C++ の基本文法を教える授業
- 「これくらいとっくに知っている」という学生から「ディスプレイの付け方がわからない」という学生までおり教育の難しさを感じた
研究
- 学生の IWAENC 原稿チェック
- ICASSP 2024 at Seoul, South Korea
- 韓国語を喋れるようになってから現地の方との交流が楽しい
- 参加中に頑張って学内の研究費に応募
- 他の大学の先生方の話を聞く限り都立大は学内でもらえる研究費が多い方らしい
- 韓国の西江大学校 (Sogang University) に訪問し講演
- Prof. Hyung-Min Park の研究室にお邪魔した
- 秘書さんが日本語ペラペラでびっくりした
- かなり分野が近いこともあり話が盛り上がった
私生活
- 私の両親と彼女で食事
- 友達と韓国観光
- 雑多な手続き
- 国民健康保険手続き
- 年金手続き
- 口座振替は早めに解除しないと 10 万円くらい取り上げられる
- 小川の魚
- 渡米前の升山・引越し前の山岡さんと飲む
- 引越し
- 同棲に向けて立川から日野へ引っ越し
- 兄の引越し手伝い
- 兄は異動が多い会社で 2-3 年に 1 回引越すので安く引越すことに必死なためかいつも変な業者を使っている
- 搬入を対応していた人は声が高くトム・ブラウン布川くらい髪が長くタンクトップ1枚
- 梱包の仕方はかなり雑で穴の空いた毛布でくるむだけ
- ちなみに国立市から杉並区への引越しで総額 2 万円くらいだったらしい
- 兄は異動が多い会社で 2-3 年に 1 回引越すので安く引越すことに必死なためかいつも変な業者を使っている
2024 年 5 月
教育
- 研究室勉強会
- git ハンズオン
- 信号処理基礎
- 法定停電対応
- サーバをすべて安全にシャットダウンしたうえで部屋のすべてのコンセントを抜かねばならずけっこう大変
- プログラミング基礎演習 II
- リーダブルコードをお勧めした
- 前期で担当する授業はこれだけだった
- 1 年目ということもあり 15 回中 5 回だけの分担にしてくださった
- pandoc と minted の連携に手間取り資料作成が若干難航したが次からは楽できるはず
研究
- 研究活動スタート支援 申請
- AIST 坂東さん招待講演
雑務
- 全体ゼミのたびに研究室内のネットワークがかなりの頻度で落ちるため原因調査
- ルータを変えてみてはということになり探す
- 同じ学科の助教である柴田先生から Buffalo は 3 年でダメになる・ネットワーク機器は YAMAHA こそ至高という神託を授かる
私生活
- 博論製本
- 1 冊 1 万円くらいかつ納品まで 1 ヶ月くらいかかるので前もって準備すべきだった
- 引越し
- 立川市から日野市への近距離だったので引越し屋を使わずに頑張ると決意
- スーツケースに荷物を入れて 4 往復くらいした
- ベッドや椅子など大きめのものはヤマトホームコンビニエンスというヤマト運輸系列の家電運搬サービスで 2 万円くらいで運んだ
- 冷蔵庫と洗濯機は彼女が持ち込んでくれたので自分の分は処分した
- 同棲開始
- 両家顔合わせ
- 生中 1 杯 1200 円くらいする高めのレストラン
- たぶんつつがなく終わった
- 多摩動物公園
- ターキンという動物がかっこいい
- 東大五月祭
- 音源分離の展示あるらしいという噂を見たので突撃した
- 若さの風を感じた
- 豊田ビアフェス
- 農工大矢田部研飲み会
- 研究室がおしゃれすぎて感銘を受けた
- 自炊
- サラダチキンづくりと人間のエサ(主にご飯の上にキムチと納豆と温泉卵をのせたもの,おしゃれな言い方をすればビビンバ.楽でおいしい)にハマる
- 誕生日
- 28 歳になった
2024 年 6 月
教育
- 研究室内ゼミ
- 高尾山ハイキング
- 小野先生がかねてから実現したいと仰っていた初の研究室屋外イベント
- 山頂付近のビアガーデンで良い酒を飲んだ
- 都立大情報科学科 3 年生歓迎会
- 松田先生が企画され大いに盛り上がっていた
研究
- EUSIPCO 論文査読対応
- D3 の時に面倒をみていた元学生の仕事
- だいたい好意的な反応で通りそうだったのでよかった
- 査読
- あまり深く考えずに引き受けたものの結構分野が違っていて苦労した
- 査読は安請け合いせずに分野とアブストをしっかり読んだうえで断れる時は断ろうと心に誓う
- 学内の科研費セミナー参加
- 審査員には「できるだけ考えさせない・内容を見て審査結果を判断することだけに集中してもらう」
- 「学術的問い」に注意
- **の仕組みを解明する(そもそも問いではない)
- **についての実証研究を行う(どうするのか?)
- 「学術的」とは:直接的に研究を通じて答えを出すことが可能なもの
- 音学シンポジウム参加
- 今まで学会で会った先生方から「先生」と呼ばれるようになりちょっと嬉しい
- 須藤先生招待講演
- 同時通訳のこれまで・これから: 表層だけを伝えればよかった → コミュニケーションは伝えてなんぼ・思想を伝えなくてはならない
- 学科長面談
- 今年度の目標を決めた
私生活
- 韓国ドラマ
- 킹더랜드 (キング・ザ・ランド)
- ユナさんの演技を楽しむためのドラマ
- 킹더랜드 (キング・ザ・ランド)
- Robin さんランチ
- 非常勤講師として都立大の講義を分担で担当されていたらしい
- Google に移られることを聞いて衝撃を受ける
- 町田リス園
- 大量のリスと戯れる
2024 年 7 月
教育
- 研究室内ゼミ
- 4 年生のテーマの方向がかたまり出して段々ゼミの時間が伸びがちになる
- それとともに別グループの研究内容についていけなくなりだす
研究
- BOOST
- 「出せたらかっこよくない?」というノリと勢いで偉い人とオンラインミーティングまでした
- にもかかわらず都立大の規定でそもそも応募すらできないことが判明し落胆
- 規定を前もって確認すべきだったがやる気が出てきていただけに落胆
- 共同研究先とのミーティング
- 学生のときに比べて使える時間が少なすぎるがゆえに少なすぎる進捗を報告せざるを得ないことがものすごく心苦しい
- EUSIPCO 航空券・ホテル探し
- 意外と頭を悩ませて面倒なのが国際会議出張のもろもろ
- 産総研見学
- 未来館に初めて訪問
- 面白くかつ教育によい展示が多くて感動
- Oldenburg 滞在
- D3 の時の終わり頃に小野先生がドイツの Carl von Ossietzky Universität Oldenburg の Simon Doclo 先生との共同研究プロジェクトに応募し採択されていた
- 日本側からは私と山岡さん(元先輩・現東大助教)がドイツに滞在する予定になっていた
- 具体的な滞在時期や誰が来るかという調整が始まる
- 出張期間が 10 日を超えると宿泊費が減らされる・予算がそもそもかなり限られているなどの制約下でホテルや航空券を探すのがなかなか大変
- CREST シンポジウム対応
- 名古屋大学の戸田先生が代表で小野先生・NTT CS 研の亀岡さんとの共同研究プロジェクト
- 私が M1 後半の時から知っていたがちゃんと話したことはなかった Prof. Huang Wen-Ching とも仲良くなる
- Raspberry Pi で動作するリアルタイム音源分離システムの調整に手間取る
- 研究活動スタート支援採択 😊
私生活
- オンライン英会話
- 友達も利用しているという理由で Cambly というサービスに登録
- 頑張ってみたがやはり英語はつらい
- 水戸観光
- タイミング悪く定食屋の納豆定食が売り切れてしまい悲しい
- 新宿御苑
- 昭和記念公園
- 花火大会
- 映画
- スラムダンク
- ディア・ファミリー
- ルックバック
2024 年 8 月
教育
- 研究室内ゼミ
- 夏休みに入り前期は終了
- 学科会議
- 学科の再編に伴い演習科目や実験科目をどうするかの議論が交わされた
- APSIPA 学生原稿添削
- 最近の学生は Overleaf でしか LaTeX ファイルをコンパイルできなくなっておりまずさを感じる
- ASJ 学生 発表練習
- 大学院入試 監督員
- 3 時間くらいほとんどずっと立ちっぱなしで体力的に少し大変
- 手当は 1 日 3000 円 (規則で公開されている)
- 研究室見学 手伝い
- B3 向けの説明会
- 小野先生がメインでご対応
- タイトルが「小野・中嶋研 説明会」になっていてちょっと嬉しい
- 大学説明会 対応
- Raspberry Pi のリアルタイム音源分離システムを展示
- ラズパイの出力をオーディオインターフェイスに入れラズパイのマイクとは別に説明用のマイクを追加する構成を初めて試す
- 音源分離をオンにしていると説明する人の音声が分離されて聞こえづらくなるため
- 高校生の反応が純粋で刺激になった
研究
- 研究活動スタート支援 交付手続き
- EUSIPCO at Lyon 🇫🇷
- 発表スライド準備
- 6 月に査読対応していたものが採択され私が代理発表
- back-projection の気持ちを絵で伝えるのがなかなか難しい
- 発表
- 牧野先生から「いつものキレがなかった」と評される
- スライドの修正がしきれなかったことが悔やまれる
- 感想
- 羽田からシャルルドゴールの移動が長くてしんどい
- オリンピックの時期だからなのか元からなのかは不明だが空港の駅周辺は機関銃を装備した警官が何人もたっていて怖い
- やはり飛行機で PC 作業などとうてい無理
- 小野先生は飛行機の中でかの有名な AuxIVA を実装したらしいが…
- 炭酸水でインスタント味噌汁を作る NTT 近藤さん・まだ渡米できないニート升山とおしゃれなフレンチを食した
- パラリンピックの聖火リレーのランナーを頑張って追いかける升山の様子を撮影することに成功した
- 3MT contest にギリシャの ICASSP で仲良くなった台湾の学生が出ててびっくりした
- 発表後は楽な気持ちで旧市街の Bouchon で優雅におフランスディナーを楽しんだ
- 阪大時代の先輩がリヨンの大学に留学していたらしいのでおススメを聞いた
- 発表スライド準備
雑務
- 法人カード発行
- 学内の会計手続きに使うためのクレジットカード
- ただし引き落としは個人の口座で行われるという謎の制度
私生活
- 結婚指輪探し
- 韓国ドラマ
- 슬기로운 의사생활 (賢い医師生活)
- 温かみある人情ドラマ
- バンドのシーンが多く昔の韓国の音楽を知るのにちょうどよい
- 슬기로운 의사생활 (賢い医師生活)
2024 年 9 月
研究
- EUSIPCO からの帰還
- めちゃくちゃ体調を崩した
- ASJ 研究発表会 at 関西大学
- 若手飲みがかなり楽しい
- 初の副座長業務
- 良い質問を考えるのが結構むずかしい
- 査読
- 自分も参加したことのある会議の査読は近い分野が割り当てられることが多くさほど苦ではない
- CREST 成果発表シンポジウム
- Raspberry Pi リアルタイム音源分離を展示
- 当日ラズパイに ssh 接続できなくてめちゃくちゃ焦り山岡先生に多大なるご迷惑をかけてしまった
- ドイツ滞在
- 本来乗るはずだった成田からフランクフルトへの便がキャンセルになりいきなり慌てたが無事に羽田から替えの便が手配された
- フランクフルトからブレーメンへ移動・ブレーメンからオルデンブルクへ移動
- 滞在先のマンスリーマンション的な宿のオーナーがたまたま韓国人だった
- 移動初日は時差ぼけと移動疲れで一歩も動けず
- 自分の直近の研究内容を Doclo 先生のグループの前で発表した
- Kramer Markt という地域の祭りに出かけた
- 週末に山岡先生と共に Wilhelmhaven という海軍博物館がある街へ繰り出す
- 船に大興奮する山岡先生を知った
- 11 月に日本に来ることになった Henri, Klaus とお互いの研究を語り合う
私生活
- 韓国ドラマ
- 슬기로운 의사생활 2 (賢い医師生活: シーズン 2)
- 髭脱毛
- D1 の時から通っているのですでにかなりなくなってきている
- 毎朝のことなのでかなり楽になった気がする
- 結婚指輪購入
- 日本科学未来館
- 電動アシスト自転車購入
2024 年 10 月
教育
- 情報科学ゼミナール
- 卒研の練習のような位置付けで研究室における活動を学ぶための講義
- 今年度は BSS の基礎を講義しつつ音響信号処理のハンズオンを企画
- 熱意のある B3 が 4 名配属された
- 毎週 2 コマ分あり準備がけっこう大変
- 研究プロジェクト演習
- 違う研究室の大学院生たちが集まり何かを行う授業
- 今年度は音響シーン認識・音源分離の OSS やアプリをいじってもらい課題を調査してもらうことを企画
- 毎週昼休みの 1 時間だけ集まってもらいミーティング
研究
- ドイツ滞在
- Oldenburg 大学の横にある Fraunhofer Division Hearing, Speech and Audio Technology を訪問
- Henri の奥さんがやっている合唱のライブを鑑賞
- 同じ大学で別グループの Prof. Gerald Enzner のグループと議論
- 他のグループのメンバーも含めた 20 人程度の聴衆がいる Colloquium にて登壇し自信の研究内容・研究室内の他のトピックを紹介
- 夜行バスで弾丸ベルリン観光
- 夜行バスで弾丸アムステルダム観光
- 謎のホームレスに絡まれる
- 王宮を見物したかったが運悪く工事中だった
- あまりにもカジュアルに大麻が売られすぎていてカルチャーショックをうける
- Amsterdam Sloterdijk 駅のレストランで日本のファミレスチェーンで見かける猫型ロボットを見て驚く
- Kramer Markt 最終日にて花火を見物
- 円安も相まって外食するたびに毎回 1 回 5000 円はかかる
- openMHA というマルチプラットフォームのリアルタイム信号処理ツールを知る
- 最後の日は Anselm のガイド付きで Bremen の城下町を観光
私生活
- 大学時代の友人と釜山旅行を企画
- 韓国ドラマ
- Mr. 플랑크톤 (ミスタープランクトン)
- 親に捨てられた男と親のいない女の物語
- かなり良い,ボロボロ泣いた
- Mr. 플랑크톤 (ミスタープランクトン)
2024 年 11 月
教育
- 情報科学ゼミナール
- 研究プロジェクト演習
- システムプログラミング実験
- 実験室のルータを入れ替え
- ネットワークに全然詳しくなかったため勉強しつつ前任の先生に色々聞いて頑張った
- APSIPA 発表練習
- 学生のポスターやスライドチェック
研究
- Henri, Klaus ホスト
- 我々とは逆にドイツ側から都立大へ訪問
- 南大沢の国際交流会館に泊まってもらっていた
- 書類仕事が思ったより多くもっと早めに動くべきたった
- 週末ボルダリングや柔道をしていたらしい
私生活
- 都立大 学祭
- 大学院から都立大に来たため南大沢キャンパスに縁がなくこれまで一度も行ったことがなかった
- 研究室の学生のギター演奏を見た
- 青春の風を感じた
- 竜泉寺の湯
- beamer+pympress 記事 作成
- 結婚指輪受け取り
- 大阪帰省
- 親から婚姻届の証人欄に署名をもらう
- 釜山旅行
- 大学時代の友人と週末弾丸で旅行
- 酒を飲み韓国料理を食べた
- 海辺でドローンショーを見た
2024 年 12 月
教育
- 情報科学ゼミナール
- 2 コマ分喋り続けるのはなかなか大変
- 研究プロジェクト演習
- システムプログラミング実験
- 実験室のネットワーク環境を変えたことが他の先生方の授業にも影響してしまい色々と焦る
- 慣れないながらもソケット通信プログラムを指導する
- クリスマスにも実験したために学生からは不評だったかもしれない
- ASJ 学生原稿チェック
研究
- APSIPA 2024
- ホテルのバーで京大の学生さん・木下先生・早稲田 田中さんと語る
- 学生たちはしっかり発表してくれていた
- 帰りの飛行機はほぼ気絶していた
雑務
- GPU サーバ購入
- ギリギリ 100 万円は超えなかったものの 50 万円はどうしても超えてしまうので会計課を通じて発注しなければならず結構たいへん
- 広報課からの依頼対応
- 学科のパンフレットに載せるために Henri, Klaus と音響系の実験をしている風のシーンを撮影してほしいとのこと
- 学科のホームページ とパンフレットに使ってもらいました
- 学科のパンフレットに載せるために Henri, Klaus と音響系の実験をしている風のシーンを撮影してほしいとのこと
私生活
- 学科教員忘年会
- やはり大学教員は思想の強い人が多いため時として熱い議論が交わされる
- 入籍
- お互いの誕生日と同じ月は避けたい・指輪の納品まで時間がかかる・年内にはしたいなど様々な理由により12月15日という特になんでもない日になった
- 帰省
- 妻の実家(愛知)で過ごしたのち私の実家(大阪)で過ごした
- 妻の妹の息子(義理の甥とでも言うのだろうか)がとてもかわいい
2025 年 1 月
教育
- ASJ 学生原稿添削
- システムプログラミング実験
- レポート諸注意
- 実験レポート採点
- 共通テスト監督員
- 約 10 時間拘束
- 試験時間中は基本的に立ちっぱなしかつ問題冊子運搬の肉体労働でかなりきつい
- 昼メシも落ち着いて食べられない(たぶん休憩時間も受験生より短い)
- 何かあると容易に新聞沙汰になるというプレッシャーもきつい
- 一応手当も出る
- 具体的な金額は非公開のため伏せるがコンビニの夜勤よりは少し高く情報系の学生が行くようなインターンの時給よりは安い
- 拘束時間の長さと肉体的・精神的負担を考慮すると到底割に合わない
- ちなみに休日出勤や超過勤務による割増などはなにも適用されないようである
- 偉い人だれか一刻も早くこの業務を民営化してください、本当に。
- 研究室サーバ更新作業
- 内部のドキュメント管理に Growi というサービスを使っているがバージョンアップを怠りすぎてやばいことになっていたので頑張って更新した
- SPEASIP 学生原稿添削
- 学生修論添削
研究
- uv 導入
- これまで使ってきた python 環境とかなり変わってまだ慣れないがパッケージのインストールは速くなった気がする
- 共同研究
- あまりに進捗が出なさすぎて自分に圧をかけるために月 1 回のミーティングを週 1 回にしてもらった
私生活
- 結婚式場選び
- ブライダルフェアがとても怖い
- たぶんどの時期に行っても何かしらの理由で 20 万円くらいの割引を提示され「今申し込まないとこの割引は無効になります」と選択を迫られる
- 1 個目の会場は「初めての見学割引」,2 個目は「繁忙期の 1 月最後の割引」
- 良いなと思った会場ほど後に回した方がよいと思われる
- 4 個の会場を見学する予定だったが結局 2 件目に行った会場で申し込みをした
- 結婚の予定がある男性のみなさんは結婚アフロ田中という漫画をお勧めする
2025 年 2 月
教育
- 情報科学ゼミナール
- 最後の週に学んだ成果をまとめて発表する義務がある
- 学生たちはとても頑張っていて質疑にもしっかり対応できていた
- 研究プロジェクト演習
- 情報科学ゼミナール同様に発表がありみんな頑張っていた
研究
- 共同研究
- シミュレーション実験があまりに複雑すぎて心が折れかける
- 頻度を週 1 にしてもらってからなんとか少しずつ進めるようにはなったものの精神をすり減らす機会も増えたかもしれない
- CREST 領域会議参加
- JST の研究予算はもれなく「領域会議」という行事が付属するらしい
- やはり分野の全然違う他のチームの研究内容についていくのがかなり難しい
雑務
- 研究室内の古びた PC の廃棄・掃除
- 研究室内の WiFi ルータ入れ替え作業
- ようやく古めかしい buffalo を駆逐した
- YAMAHA ルータの設定が細かいところまでできるのはいいがその代わり複雑なので少し手間取る
- 法定停電対応作業
- 恒例のサーバシャットダウン・コンセント抜去
- Doclo 先生 国際交流会館予約
- 3 月末に Doclo 先生も都立大に来られることになった
私生活
- 研究室飲み会
- 卒論・修論発表お疲れ様でした的な飲み会をした
- 友人の結婚式
- 大学時代の友人
- 新郎の恩師がたまたま音響学会でお会いしたこともある近い分野の大学教員だった
- 整形外科
- 首と腰の痛みが限界に達し受診
- ストレートネックだと言われ筋肉弛緩剤とかなんとかを注射してもらい凌いだ
- 映画
- ファーストキス
- 新婚は見た方がいいという評判だったので鑑賞
- 妻が相当気に入った様子で私が学会出張している間に一人で 2 回目も見に行ったらしい
- ファーストキス
- 韓国ドラマ
- 중증외상센터 (トラウマコード)
- 主演がチョコプラ長田に外見も声もそっくりであまり話が入ってこない
- かと思いきやかなり面白い
- 推し女優のハヨンさんがレギュラー出演していて嬉しい
- イカゲーム 2
- 続き早く見たい
- 중증외상센터 (トラウマコード)
2025 年 3 月
教育
- ASJ 学生ポスター・スライド添削
- SPEASIP ワークショップ
- 坂東さんが運営でとても忙しそうにされていた
- 研究室メンバーと島唄ライブつきの居酒屋で飲んだ
- 2024 年に並びすぎて諦めた居酒屋のリベンジに成功した
- 偉い先生方の 2 次会で熱いトークが繰り広げられていた
- 異常気象が続いており東京と沖縄との温度差が最大で 20 度あった
- 共同研究
- あまりに進捗が悪すぎて色々ダメになる
- ASJ at 埼玉大学
- モンスターエナジーが 190 円の自販機があり感動した
- 大宮のおしゃれスペイン料理屋で TTS・VC 界隈の方々と飲み speech 方面への研究の機運を高めた
- 最終日は雪が降り道が悪くなりすぎ疲労ですぐに帰宅した
- CREST 最終シンポジウム
- 私は EUSIPCO で発表した内容をポスターで再度発表
- 小野先生が iPhone で動作するリアルタイム音源分離デモを展示
- 名古屋大学のメンバーと招待講演者の Prof. Yu Tsao と会食
- ICASSP 2023 で飲んで仲良くなった台湾の学生の指導教員であることを知り世界の狭さを感じる
- CREST 期間中は年 2 回くらい名古屋にいくのがささやかな楽しみだったがそれがなくなり名古屋大メンバーとも頻繁に会えなくなると思うとエモくなった
- YAMAHA 訪問
- M2 の学生が行っていた共同研究の一環で浜松のヤマハ本社に訪問した
- 私は何もしなかったがヤマハ社内を案内してもらい色んな刺激を受けた
- Doclo 先生 都立大滞在
- iPhone のリアルタイム BSS デモを体験してもらった
雑務
- 研究室の環境改善
- 卒業生が残して去っていった種々の呪物の処理
- 待望の電動昇降デスクが導入される
- Zotero 整理
- 塩漬けになっていたいろんなファイルをすっきりさせた
私生活
- Anselm 再会
- 本来 2 月末に都立大に来るはずだったがビザの問題でやむなく中止になった
- 元々は 3 月に京阪奈の NTT でインターンが予定されており都立大への訪問はそれにくっつける予定だったらしい
- NTT インターン中の週末に東京まで会いにきてくれた
- 浅草とスカイツリーを案内した
- 卒業式・学位授与式
- 去年卒業したばかりなのに今年は教員になってから初めての送り出しイベントでエモい
- 韓国ドラマ
- 슬기로운 감빵생활 (刑務所のルールブック)
- イカゲームシーズン 1 のライバル役の人が主演
- 暗い話かと思いきや温かみある人情ドラマ
- 4 話くらいから急速に面白くなる
- 슬기로운 감빵생활 (刑務所のルールブック)
- 結婚式関連
- 妻のドレス選び
- 親族の衣装相談
給与事情
博士後期課程でもらっていた学振 DC との比較も含めて助教の給与をお話しします. 小町先生に倣い源泉徴収票の額を公開します. 特に断らない限りいわゆる額面(源泉徴収票の支払金額欄もしくは給与明細の支給額)を記入しています.
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}
- 2021 年, 学振 DC1 + 都立大 RA, 2,270,775
- この年は学振 DC1 の月額 20 万円が 4 月から 12 月の 9 ヶ月分だけなので少ないです
- 2022 年, 学振 DC1 + 都立大 RA, 3,408,473
- 学振 DC1 としてもらえる月額 20 万円と都立大の RA で月額約 9 万円いただいていました
- もちろん賃上げや賞与などありません
- 2021 年は学振 DC1 の研究遂行経費という制度を使ったため所得控除額がかなり大きかったですが毎月 6 万円くらい書籍や備品を買うために悩む労力と JSPS の web システムで大量の物品を 1 行ずつ入力する作業があまりにもつらすぎて控除される税金額を上回る苦痛を感じたため 2 年目以降はやりませんでした
- 今思うと我慢してやっておいた方がちょっと得だったような気がします
- 2023 年, 学振 DC1 + 都立大 RA, 3,480,000
- 同上
- 2024 年, 都立大 助教, 5,608,160
- 学振 DC1 + 都立大 RA 3 ヶ月, 都立大 助教 9 ヶ月の給与です
- アカデミアの闇のひとつとして有名な「給料がわからない」問題は本学にも当てはまります
- 4月1日の着任時に渡される通知をみるまでだいたいいくらくらいかという想像すらできません
- その通知書をもらっても賞与や試験監督の手当などは含まれていないので正確ではありません
- 着任後はわかりませんが少なくとも初めて着任する時点ではどのような基準でその額になるかの面談などは一切なく4月1日まで何も知らされません
- またその額に不満があったとしても多分何も言えません
- そもそも労働条件通知書もなく労働契約書の署名もなかったため労働契約が締結されたかどうかも不明です
- もしかすると労働契約法が適用されていない可能性すらあります
- ちなみに大学院生の RA の時は雇用開始の 1 ヶ月くらい前にきちんと「労働条件通知書 兼 労働契約書」と書かれた書類を確認し署名しました
- 本当にどうなっているのか未だにわかっていません
- 労働組合の交渉のおかげで 12 月に賃上げされました
- 6 月の賞与が 31 万円くらい・ 12 月の賞与は 90 万円くらいでした
- 12 月の方は税金が 20 万円くらいひかれてびっくりしました
- 少なくとも学振 DC1 の倍にはなると噂で聞いていましたが総合的にはそれくらいでした
- 学振 DC1 の期間は職歴として算入されるという噂を聞いていたのですが,あとで調べてみると都立大の規則では大学院に在籍している期間と学振DC1は同一視されるため給与の面では有利に働かなかったようです
- ちなみに都立大だけではなく大学の教職員の給与体系は大学名+給与規則で検索するとだいたい出てきます
- 「公開されてはいるけどどの号や級が適用されるかの基準がないからほとんど無意味」とよく言われています
- ただし博士後期課程の新卒助教 1 年目に関しては規則を細かく読むとだいたいの傾向はつかめます
おわりに
やはり慣れないことをするのはかなり大変です. 月ごとに 3-4 行くらいの箇条書きにするつもりだったのですが書きながら結構なボリュームになってしまいました. 普通の文章にするともうとんでもない量になりインターネットの海に流してはいけないことまで書いてしまう気がしたのでこの程度にとどめておきます. 振り返ってみると相当大変だったと同時に充実していました. 学生から教員になったことと,結婚という2つの大きな変化に適応することの難しさを感じた一年でした.
学生と教員の違い
教員になってからは講義という極めて重要かつ大きな時間を割く必要ある仕事が増えます. 博士課程時代も学部生・修士課程学生のメンターのようなこともしていましたが,教員になってからはより大きな責任を求められます. 学生の間はあまり回ってこなかった様々な雑務(査読・学会の仕事・来客の対応など)もこなす必要があります. 小野先生は極めて配慮が細かい方で若手が研究のための時間を確保できるよう様々な工夫をしてくださいますが,それでもやはり博士課程の時に比べれば時間の確保が難しくなりました. 今後は研究費を継続的に獲得することへのプレッシャーも感じます(まだ助教なので准教授以上の先生方のプレッシャーは想像もできませんが…). これらの業務をこなしつつ研究にかける時間を増やす意識をより強く持つ必要を感じました.
結婚について
独身時代の週末はのんびり教科書を読んだり韓国ドラマを一気見したり新しい vim のプラグインを試したりふらっと本屋に行ったりしていました. ただし結婚後は結婚に関連する種々のイベントが忙しくなり独身時代と同じ生き方では調整が難しくなりました. 教員生活どころか結婚生活にまだ適応しきれていない気がします. それらを言い訳にしてあまり研究できていませんでした. もちろん結婚したことにより妻と過ごす時間が増えたことはかなり大きいです. 研究が全然進まなかったときや出張から帰って疲れたときに妻と話す時間はとても貴重なものです. 妻の支えがなければ教員 1 年目どころか博士課程を終えることも難しかったかと思います. 妻には迷惑をかけてばかりですがいつも感謝しています.
反省の一年
この 1 年はひとえに私の怠惰による失速の年であったと言えます. 前向きに言えば次の年度へ向けた準備と言えなくもないですが,結果を見てみれば今年度は 主著の発表ゼロ という研究者としては悲惨なものでした. 2024 年度中にジャーナルに投稿しようといっていた共同研究プロジェクトも延期につぐ延期になってしまいました. 小野先生からも「このままではまずい」と少し強めのお叱りを受けました(D1の時も全然アウトプットがなく同じようなお叱りを受けていました). 総合的に見て今の仕事はとても気に入っていますが,研究者にはあまり向いていないと感じました. 出張の移動の合間にみる韓国ドラマと週末に妻と過ごす時間がなければこの一年間はきわめてつらい時間になっていたことでしょう. 2025 年度は大幅に改善しようと決意しました.
余談
大学教員はどう生きるべきかなど高尚なことはだいたい冒頭に挙げた文献にまとまっているのでぜひご覧ください. 都立大で准教授以上の先生の生活はかの有名な 小町先生のブログ も面白いです. 勝手にリンク貼ると怒られそうですが,同じ学科の助教の先生方も面白い日記を公開していて面白いのでぜひ見てみてください.